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日々の雑感が惰性で書かれた怪文書

感想『アイドリッシュセブン』第三部前半(TRIGGER回) 月雲了とTRIGGERの絆

最終的にハッピーエンドになるにしても、物語の途中がしんどくてやめてしまう人も多いらしい。長いトンネルも終わりは来るとわかっていても、明けない夜はないと知っていても怖いものは怖い。

 

アイドリッシュセブン』は物語の表情がはっきりしているから、どうしても暗い話が立て続いたりしてしまうので、拙者暗い話やだ!推しが泣くの怖い!みたいな人はもしかしたらアイドリッシュセブンには向かないかもしれない。

 

かくいう私も第三部を見ている時は度々目を背けたくなるようなことも多々あったので、内容に触れつつ感想を述べていこう。あと第三部は濃すぎたので前後半に分けた。今回はTRIGGERにまつわるあれこれだ。

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以下ネタバレ含む感想。

 

前評判から第三部はTRIGGER推しが泣くと聞いていたけれど、私は泣かなかったと先に言っておこう。二部はぼろぼろ泣いてたのに三部はほとんど泣かなかった。これは『アイドリッシュセブン』に耐性が付いてしまったのだろうか……。

 

まず、私が泣かなかった理由としてはTRIGGERへのしんどさよりも月雲了への憎しみ(大げさ)が勝ってしまったからである。TRIGGERを拉致監禁してライブを邪魔したり、アイドルに親兄弟を殺されたのか?ってレベルで邪魔をしてくる。でも一周まわって可愛いよね、モモくんに構ってちゃんしてるところとか。

 

前半ではちょっと分からなかったけど後半読んだら了×百もありだな……と思い始めたので末期。

 

話が逸れたが第三部前半は基本的にリアルで言う24時間テレビをリスペクトした「FRIENDS DAY」という番組の総合MCをRe:vareが行い、主人公たちがそれに絡んでいくというストーリーである。

 

今回のラスボス的な存在は、アイドルを何故か恨むツクモプロダクションの次男坊、月雲了である。彼は手始めにツクモと並んで有名な星影芸能事務所を落ちぶれさせ、「これからはツクモの時代」ということを業界に知らしめようとしていた。

 

第一の筋書きは、星影芸能事務所のトップタレントである千葉志津雄のスキャンダルをばら撒いて屋台骨を失わせ、星影を衰弱させツクモに吸収合併するというものだ。そのための策は「千葉サロン」という労働者組合のような団体の存在を暴露して、世間に是非を問うというものである。

 

神の視点でご存知の通り、IDOLiSH7のリーダー、二階堂大和さんは名優・千葉志津雄の息子である。月雲了はそこに目をつけて、彼をキーマンにして糾弾の雰囲気を作ろうとした。

 

大和は隠し事をメンバーに真剣に尋ねられた結果、躱して逃げるように寮を去り、Re:vareの千のもとへ。尋ね、顔を殴ってしまった和泉三月も弟と一緒に出て行き、同じく、百の家でお世話になった。

 

Re:vare超イケメン。

 

大和も泣きそうになるくらいに三月に失礼なこと言った自覚はあったみたいらしく、最低な自分を自己嫌悪してるのは実際の私と重なって「ああ……しんどいね……」と勝手に同情していた。

 

まあ最終的に仲直りしてIDOLiSH7内で話そうとしたが、焦らされたナギの怒りにより、自業自得だけれどRe:vareとTRIGGERも呼んで第一回暴露大会をやる羽目になったのである。

 

赤面して告白する大和さん超可愛いし……。

 

終わったあとに百から「ツクモが千葉サロン暴露しようとしてるよ」という話を聞いて、IDOLiSH7に迷惑を掛けられない大和はものすご〜く久しぶりに父親に自分から連絡を取り、千葉志津雄はケジメとして芸能界引退を表明した。息子のためなら芸能人生、死も辞さない。かっくいー!

 

大和に関する話はだいたい終わりだけれど、転んでもただでは起きないタイプの月雲了はその後TRIGGERに目をつけた。

 

最初にTRIGGERの十龍之介にからめ手を使い、自事務所のタレント、花巻すみれを無理やり移籍させ、八乙女事務所が強奪したという醜悪な風聞を広めた。

 

その後、東京国際映画祭に出ることが決まっているTRIGGERを拉致監禁して、第一部であったサウンドシップを既に事務所の都合で一度欠場しているTRIGGERに二度目の欠場として不義理の汚名を被せ、アイドルとしてのイメージを最悪にしたのである。

 

実はここがTRIGGER回の真骨頂で、IDOLiSH7のおかげで助かったTRIGGERだったけれど、十龍之介しか会場に現着出来ず、たった一人で歌うことになってしまったのだ。

 

月雲社長さん。(中略)あなたは、ちっぽけで、無力だ

 

十龍之介がひとりぼっちのステージに向かう前に月雲了に向かって言った言葉だ。月雲はのちにATMと略しているが、よほど月雲にも刺さったようである。

 

この後、TRIGGERが絆の再確認をするような形で終わるが、結局は八乙女事務所を辞するまで窮してしまうが、それはまた第三部後半に書こうと思う。

 

第三部、TRIGGER担は泣けるという話だったけれど、個人的に泣けなかったのはやはりリアリティの面で少し納得行かないところがいくつかあったからのように思う。仮に訴えを起こして、もしツクモに届かなかった場合でも拉致監禁されていた事実は欠場してしまった理由としては十分なものだと感じられる。

 

あまり感情移入出来なかったイコール泣けなかったに繋がってしまうので、リアリティを追求するとシナリオ作りが難しくなるのは重々承知なのだけれど、もう少し現実味を帯びた話だったならきっと泣いていたと思う。

 

純粋にTRIGGERの絆がまた深まったのはいい事だと思ったけどね!

 

アイナナ最高!

 

TRIGGER最高!

 

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願いはShine On The Sea

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ポチポチゲームは愛である

「ポチポチゲーム」と言われて、一体何を思い浮かべるだろうか?

 

有名なソシャゲであれば、『あんさんぶるスターズ!』、『A3!』、「Fate/Grand Oder」などなど……ブラウザゲームポチポチ周回ゲームではないものを挙げる方が難しいので割愛する。

 

さて、かくいう私も例に挙げた3つは一通りプレイしたことがある。あんスタはサービススタート時、えすりは人気が出始めたあたり、FGOは3周年記念あたりで始めた記憶がある。

 

まあ、今となっては全てアンインストールしているのだけれど……。

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ポチゲーをやる上でまず必要なのは時間だ。ある程度の時間に余裕があり、それを推しのため虚無に帰せる勇気も必要である。毎日周回していれば、積み重なったプレイ合計時間は24時間では留まらず1週間、掛け持ちならば実質1ヶ月ぶっ通しと同じプレイ時間になっていたりするかもしれない。

 

では何故そんなポチポチゲームにも息が長いソシャゲがあるのだろうか?

 

意見としては、ゲームでまで頭を使って走りたくないだとか、音ゲーで音楽に制作のリソースを割くぐらいならストーリーに力を入れて欲しいなど、色々な意見や願望があると思う。それぞれの好きの形が違うのだから、仕方ない。

 

しかし、それだけでは説明がつかない。いくらひたすらタップし続けるゲームシステムが好きだとしても、ゲーム自体が面白くなければ続かないだろう。

 

そう、ポチポチゲームとは愛である

 

推しのために排出設定の低い運営をひたすら札束で殴り、イベ走のためにスタミナドーピングを買い占めてライバルがひしめくイベントランキングを夜通し走る(例外あり)

 

推しのためにライブならば北海道から果ては九州までどこへでも飛んでいくし(無理でもライビュ)、普段はメルカリでしこしことグッズを買い漁り、自宅は推しのポスターから抱き枕まで、まさにうっとりルームとでも言うべき推し一色の部屋になっていく。

 

たかがポチゲされどポチゲの境地である。

 

ゆるく推す浅いファンからすれば、ある意味正気の沙汰ではないのかもしれない。

 

いや、実際正気ではないのだけれど。

 

正気を失って尚、推しの尻を追いかけるその様は、愛ゆえに成り果てたオタクの正しい姿だ。正道、と言っても良いのかもしれない。新イラストの顔が良いから仕方ないという免罪符を片手に握り締めて走る姿は芸術的である。

 

別の言い方をすれば、プレイ時間もしくは今までのタップ数、金額は推しへの愛の量だと考えれば納得行くかもしれない。いや、自分の中で納得させなければならないだろう。

 

私は時間と愛を引き換えることが出来ず、もっぱらストーリーを全て開け切ると課金していても途中でやめてしまうことが多かったポチポチゲーム。

 

一度アンインストールしてしまうと新しい章が出たよ!とか好きそうな新キャラが出たよ!言われても、もう一度最初からやり直すのはちょっと......という思いで敬遠してしまうのも確かだろう。

 

唯一無二の可愛い推しさえいれば、私もあんスタ等もやめてしまうこともなかったはずだ。まだまだ私の推し探しの旅は続いている。かもん!まだ見ぬ君!私の源氏!私のお姫様ああああ!

感想『アイドリッシュセブン』第2部 ゼロの亡霊とRe:vareの友情

登場人物が悩んでいる時に私がアドバイスしてあげられたらな、と思うことが多々ある。『アイドリッシュセブン』では、実際の私は別のキャラクターとして物語に組み込まれているが、基本ポンコツなので的確なアドバイスは期待出来ない。その辺り二階堂や一織がフォローしてくれるのだが、それまでがもどかしい。

 

それぞれ内包した悩みは解決する度に一人ひとりを成長させていく。もどかしい期間も焦らしとして考えれば、解決された時により一層の感情移入が出来るのかもしれない。

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アイドリッシュセブン オフィシャルファンブック 3

アイドリッシュセブン オフィシャルファンブック 3

 

 

以下、本編ネタバレ含めて感想。

 

第一部が終わり、平和に終わった後にどんな展開があるのか……と胃痛と共に身構えていたけれど、序盤は静かすぎるくらい平和に物語は進んでいた。新キャラであるトップアイドルのRe:vareはIDOLiSH7に初めて会う時、ドッキリを仕掛けてくるほど陽気で、普段の掛け合いは夫婦漫才を彷彿とさせる小気味よいものだ。

 

MEZZO''や二階堂に次々と仕事が舞い込んできて、まさに昇り龍の如く人気が上がっていく様子が見られる。きっとこのあと来るであろう嵐の前の静けさを私は堪能していた。

 

RE:VAREの5周年コンサートが、伝説のアイドルが歌ったゼロアリーナのリニューアルこけら落とし公演で3日間、盛大に行われる。それに向けてIDOLiSH7とTRIGGERがシャッフルユニットを組んで一緒に練習していくというようなストーリーの流れだ。

 

この第二部を語る上で欠かせないのは「九条鷹匡」という男の存在だ。彼はゼロのマネージャーだった男で、陸の兄である天を奪った元凶、として第一部では知らされていた。

 

第二部ではIDOLiSH7の四条環の生き別れた妹、四条理が渦中の存在となっていく。彼女は環と引き裂かれたあと、養子縁組となったのだろう。その後、里親が多額の借金を背負ってしまい貧困にあえいでいたところ、そのゼロを超える類まれなる才能に目をつけた九条鷹匡が借金を全額返済し、海外で歌やダンスのレッスンをするように躾ける。

 

理は環と一緒にいたいのは確かだが、命の恩人である九条鷹匡を裏切ることはできない。なので「九条理」として、天のスペアだったとしても彼の最終的な目標である伝説のアイドル、ゼロを超えたい、アイドルになりたい。そう環に訴えるのだった。

 

この九条は過去に怪しいところが多々あり、IDOLiSH7の逢坂壮五の叔父、逢坂聡を死に追いやり、元Re:vareの大神万理を怪我で引退させるなど黒い噂が絶えなかった上に、第二部のあちこちにスプレーで「ゼロの歌を歌うな」という趣旨の落書きを書いていた犯人だった、という描写がある。

 

今の理の義兄は陸の実兄の天であり、その父親は九条。これが後々どう影響してくるのかは分からないが、今のところ逢坂&七瀬&四条の被害者の会3名は彼に良い印象は持っていなかった。

 

また、Re:vareの百は元RE:VAREの大神万理の代わりだと思っている節があって、こけら落とし当日まで声が思うように出ず、それをIDOLiSH7とTRIGGERのタッグでRe:vare、千の百への愛情を吐き出させ、見事に解決する場面が最後の方にある。

 

これはこれで感動的な場面であったが、千はこけら落とし当日まで百の問題を引きずらせるくらいなら早く本音を言ってしまった方がよかったように思う。

 

ふざけるな!モモの声が潰れることがあったら、君を一生許さない……!あいつが隣にいてくれたから、僕は音楽を続けていくことが出来たんだ!

 

立花慎之介さんのがなり声で表現されたこのセリフはとても良いものでした。(ただのファン)

 

それと、MEZZO''の話も必要だろう。先の九条の話に絡むが、精神的に成長した四条環を見抜けず、理の存在を知っていた逢坂壮五はそれを隠し通す。しかし壮五が持っていた理の落としたキーホルダーがきっかけでバレてしまい、ユニット間に致命的な亀裂が走った。

 

理に気を取られて仕事が手につかなくなるかもしれないと思っていた壮五と、改心したのに以前と同じような奔放な人間だと思われていたと感じた環は一時MEZZO''解散の危機にまで追い込まれてしまう。

 

しかし、十龍之介の仲立ちにより両者は和解。龍アニキ最高!イエーイ!という感じだけれど、まだ壮五の自己完結的な性格は治っておらず、もう一波乱ほどありそうな感じである。

 

閑話休題、第一部でTRIGGER盗作騒ぎがあった「NATSU☆しようぜ!」だが、一年後の夏フェスでIDOLiSH7とTRIGGERが共に歌うことで和解した。TRIGGER側の事務所がネックだったが、TRIGGER自身が自ら粉を被ってでも歌いたい、としたことからやはりそのクールな印象から受けるものとは真逆の熱い性格を感じ取れる。

 

第二部はここで終了だが、第三部はどうやらTRIGGER回になるようだ。個人的にはモブの仙石東が最推しなんだけれど……?仙石東回っていつ頃来るかな??

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NATSU☆しようぜ!(IDOLiSH7 ver.)

NATSU☆しようぜ!(IDOLiSH7 ver.)



感想『アイドリッシュセブン』第一部 アイドルの素質と葛藤

物語を見て、1番先に考えるのは「どう自分に似ているか」ということだ。自分との共通点を探した方がキャラクターに感情移入が可能だし、その分キャラクターと一緒に泣くことが出来る。「これは自分の物語だ!」と思うまでは行かなくとも、自分がその立場になった時どう考えるか、どう立ち回るかということを考えて、ストーリーと重なった時はキャラクターがより親身に感じられるだろう。

 

アイドリッシュセブン』はそういった意味では、人物の設定が細かくて人間味が深いため、感情移入しやすい作品だと感じた。悩み、葛藤する姿はまさに若人特有のものだし、誰もが経験した人間関係のこじれも扱っているので、舞台は芸能界という特殊なものながら、親しみを覚える作品だと思う。

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第1話 shaking your heart

第1話 shaking your heart

 

以下、ネタバレを挟みつつ第一部の感想。

 

物語はおそらく主人公たちであろう、7人の青年がバスケットボールしている風景から始まる。私は一体何を見せられているんだろう……と思ったけれど、読み進めていくうちにどうやら親睦のためのスポーツだったことが分かる。

 

それが終わり、呼び出された社長室に行くと、

じゃあ、さっそくオーディションをして、4人落としてくれる?

と言われてしまうが、私が社長に直談判してなんとか7人でIDOLiSH7が結成された。

 

私はマネージャーとして新人なので、インディーズデビューライブでキャパ3000人の会場を押さえてしまったり、路上ライブで好き勝手行動するメンバーがいたり「この時点でもう解散の危機では?」とも感じたが、謹慎中に主人公である七瀬陸の生き別れた兄、天が在籍するTRIGGERのライブを見て聞いて、どうやらアイドルとして自覚も育ち、俺たちのアイドル道はここから始まる───────というのが物語の導入だ。

 

さて、この第一部において外せない存在は、主人公の兄がいるTRIGGERというグループだ。

 

センターの九条天はアイドルになるために陸を含めた家族を捨てた非情な男として描写されている。ストーリーを通じてプロ意識が高くて、自他ともに厳しく終始トゲがある印象だったが、その実、終盤になるにつれメンバーの情にほだされた一面や、弟を溺愛するような人間らしい側面を見せるなど美しい顔と合わせてツンデレラとでも言うのが適当であると感じられた。

 

リーダーの八乙女楽は凍っているような真っ白い肌の冷ややかな美貌と、メンバーたる仲間を信頼する兄貴肌、更には気に入らないことがあれば父である社長でさえ殴りに行く熱い内面を持ち合わせた、真逆の性質を表裏一体で体現している男である。

 

色気担当の十龍之介はワイルドな筋骨隆々としたエロエロボディで女を侍らせている────という設定だが、実生活では奥手で純潔といういわゆるギャップ萌えを意識したキャラクターである。更に沖縄出身で方言萌えも兼ね備えた、明るい性格が魅力だ。

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彼らは芸能界でたった1年の長ながら、主人公たちを導き、励まし、成長させて、最後に対立するというまさに理想的な先輩の立ち回りをしてくれるのである。カッコよすぎる……。

 

TRIGGERは立場上ラスボス悪役キャラとして扱われるが、その全てはIDOLiSH7のことを思ってであるし、本人たちが不本意な社長の新人いじめには対抗するというTRIGGERのアイドルとしての意地が伺えるのが素晴らしい。

 

主人公たちの意思、先輩アイドルの思惑、マネージャー含めた運営側の大人の事情が絡み合った複雑なストーリーが『アイドリッシュセブン』の第一部なのである。

 

第一部は、最終的には大晦日紅白歌合戦をリスペクトしているだろう「ブラックオアホワイトミュージックファンタジア」という音楽番組でTRIGGERに打ち勝つIDOLiSH7が描写される。既定路線と言えばそうだが、これまでの主人公たちの積み重ねを思うと感慨深い。

 

そこにはこれ以上なく綺麗にまとまったストーリーがあり、余韻もエンディングに流されていく。二部から新たなキャラクターが追加されてさらに複雑に絡み合う物語を思うと「やだ!これ以上読み進めたくない!」と駄々をこねたくなるが、一層成長したIDOLiSH7が見られるなら、それも悪くないかな……と感じた。

 

Viva! Fantastic Life!!!!!!!

Viva! Fantastic Life!!!!!!!

アイナナは結局、食わず嫌いだった

アイドリッシュセブン(以下アイナナ)という音ゲーのようなアイドル育成ゲームがある。有名な少女漫画家、種村有菜先生がキャラクター原案を担当し、濃密なストーリーをウリにしている4周年目を迎えた中堅に差し掛かるコンテンツだ。

 

アイナナはイラストの雰囲気が現在でも『うたのプリンスさまっ』Free!!』に見られる2000年代後半に流行った少女漫画のような絵柄をしている。種村有菜先生の絵柄が好きな人は迷いなく始めているし、苦手は人はやっていないだろう。

アイドリッシュセブン オフィシャルファンブック2

アイドリッシュセブン オフィシャルファンブック2

 

 

さて、私は後者で、イラストが好きではないので始めていない側だった。特に調べたことはなく、なんとなく「いや〜アイナナはイラストがちょっと無理で……」のいうように友達からの布教をのらりくらりと躱していた。

 

先日、知り合った方にアイナナを触らせて貰って、「え、めちゃくちゃ難しいな……」と感じたのを覚えている(音ゲー初心者)。ストーリーの起伏も、ネタバレ気味にはなるが懇切丁寧に教えてもらい、絵柄や曲だけじゃなくこのゲームのウリはストーリーなのかな?と思えるようになったので、遅ればせながら始めてみた。

 

しんどすぎて泣いた。

 

一日で第1部を全部読んでしまった。

 

MEZZO''が好きです……。

 

私はストーリーで一番完成度が高かったなと思っていたのが『A3!』なのだけれど、余裕で抜いていったアイナナに拍手を送りたい。

 

ソシャゲのストーリーは大抵グループ別に分けて掘り下げられることが多いけれど、アイナナは複数のアイドルが織り成すドロドロの愛憎劇という昼ドラみたいな煽りの方がしっくりくる。

 

そしてボリュームがちょっととんでもなく、第一部を読み終えるのにフルボイスで一日掛かったくらいだ。これがあと三部あると思うと先が長いな……と感じる。

 

どちらかというとゲームをやっているというより、完成度高い漫画を見て、そのキャラクターを愛でるゲームという印象を受けた。

 

以前りぼんで『CRASH!』(2007~2013)というアイドル育成漫画が連載されていたが、話の感じとノリは似ているなと思う。あちらよりも少しストーリーの重さや暗さがアイナナの方が激しいぐらい、と思って貰って構わない。

 

正直に言えばイラスト自体は未だに好みではないので、ストーリーを開けきったらROMになる気もしないでもないけれど、きちんと音ゲー要素があるので途中で辞めてしまった『あんさんぶるスターズ』などよりは続くと思う。

 

「アイナナはイラストがちょっと好みじゃなくて……」などと思っていて、ソシャゲはストーリー重視の方、これを見たあとすぐにインストールしてメインストーリーを様子見しなさい。さすれば幸せになれるでしょう……(慈愛の目)。

 

Amazon prime会員ならアニメ見てもいいかもしれない。ストーリーは一緒だし。

 

アイナナやろうぜ!!

第1話 shaking your heart

第1話 shaking your heart

 

「逆上がり」という重力魔法

私は逆上がりが出来ない。

 

冷静に考えてみて欲しい。棒ひとつ介しているとはいえ、アレは宙返りだ。相応しい言葉を当てはめるなら、「バク宙もどき」が正解だと思う。並大抵の人間にはおいそれと出来ないパフォーマンスである。

 

アレはもはや重力をどうこうして回転しているとしか思えない。アンチグラビティだ

 

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そもそも逆上がりとは一体何なのか?重力魔法ならそうと早く言ってくれWikipediaにも当然書いてあるはず。

逆上がり(さかあがり)は鉄棒運動の上がり技の一つ。地面に足をつけた状態から始め、体を後方に回転させながら棒上に上がる。子供達の遊びとしてもよく行われるものである。

棒上支持からの後転はしばしば「空中逆上がり」とよばれるが、これは正式には「後方支持回転」という回転技で、逆上がりとは別の種類のものである。(原文ママ)

子どもたち強すぎるな??

 

いや、確かに私の同学年で逆上がり、もとい反重力の奥義を習得していた友人はいた。しかし、当時の私は「あの子は成熟が早いだけで、いつか自分にだって……!」という思いがあった。才能の発露を待つ期間も必要だと思い、定期的に校庭へ繰り出し、鉄棒と格闘し続けた。

 

学年は4年、5年、6年生へと進む。一向に成功しない逆上がり。

 

私は思った。

 

 

 

 

これは才能の問題か、と。

 

 

 

 

とある魔術の禁書目録でいえばレベルゼロ、僕のヒーローアカデミアでいう無個性というやつだ。しょせん私は持たざる者側。

 

小学生の世界の狭さは半端ではなくて、逆上がりできるというだけで超能力くらいの価値はあった。今でも「バク宙出来ますよ」って言われたらすご!!!れ!!!!ってなる。それだ。

 

まあ今でも逆上がり出来る人は悪魔の実でも食べたのか?くらい思ってるけれど。

 

ちなみに私は側転もできるし、ロンダートもできる。開脚前転は出来ない。

 

もうあとやるならバク転か逆上がりか……くらいの段階まで来ているので、誰か逆上がり教えてください。

 

小中学生の時にコツやら何やらを散々試して無理だった逆上がりは、今の私にはひねり加えたバク宙くらいの価値はあるはずだ。

逆上がりができるコツ かけっこが速くなるコツ―みるみる運動神経がよくなる本

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フリゲ感想『Almagest ‐Overture‐』 宇宙に渦巻く混沌とはじまり

普段わりとフリーゲームをたくさんやったりしていて、30〜40作はこれまでにやっているので、今回はフリーゲームを紹介したいと思う。

 

今回は、多少取っ付きにくいけれど面白さ抜群の『Almagest -Overture-』というゲームをぜひ紹介したい。

 

この作品は2006年にむつきみかつさんが独力で開発されたスペースオペラを踏襲した恒星間移民が進んだ宇宙を舞台とする、SF戦略シュミレーションゲームである。

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(ゲームのイメージカット)

 

めちゃくちゃ簡単に、今風に噛み砕いて言うと、人間が火星に移住して地球人と喧嘩になった状況が進み、今や木星や金星などを含めた、宇宙間大戦争が始まろうとしてるよ〜って感じの戦争ゲーム。

 

プレイヤーはその星の首相や大統領になって、この一触即発の宇宙情勢にどう立ち向かっていくのか……というのがゲームの触れ込みで、やることなすことはプレイヤー次第でこのゲームの面白いところである。具体的に言うと、戦争で銀河統一を目指すのか、同盟を以てして銀河和平を結ぶのかを選べる点だ。

 

戦争においては人材、練度、軍事力、外交など、どれが欠けても勝てないのでターンが回ってくる度にひたすら人材雇用、経済投資、資金援助(同盟打診への好感度up)兵器開発を繰り返す。

 

これがめちゃくちゃ大事。

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(他国から資金援助の声明)

 

経済投資して好感度上げてから、同盟結んで共通の仮想敵国を挟撃するとかもありなので、序盤の動きはかなり自由である。

 

また、戦争をする場合は人材を雇用して艦隊の司令官、副司令、参謀官に割り当て、艦隊に艦艇を配備して、宣戦布告ののち、他国に攻め入ることが出来る。

 

この時勝てなくても、何度も何度も攻め込めば敵星は疲弊するので、諦めずに滅ぼしていこう。しつこい星は嫌われるけど覇道を目指すならやむをえない犠牲である。

 

縫丸 nuimaru(改名) on Twitter: "同盟裏切って殺したら孤立しちゃったalmagest"

 

また、戦争以外のこのゲームの「面白さ」として、ヒューマンドラマが挙げられる。

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(各国首脳のキャラクターデザイン)

 

左上の上段2人はセレスティア共和国のハンスとW.L.T.Cのマチスであり、彼らは以前滅ぼされた国で士官学校に在籍した昔馴染みだった(かなり重たい設定)

 

マチスは士官のための試験を全て満点で合格したワンマン完璧超人だが、その後、故郷の星を出て行き、何故かW.L.T.Cで急進的な宇宙進出派の総帥にまで上り詰めていた。

 

その一方でハンスは、自身のカリスマ性とコメンテーターとしての知名度、弁舌を活かし、老獪な政治家たちを軒並み淘汰して、首相にまで成り上がっていく。

 

ハンスとマチスは宇宙の端と端にいるので、どちらも今の現状を知らず、「今でも生きてるんだろうか……」くらいに思っているのである。彼らが宇宙で出会った時の会話なども盛り込まれていて、それはかなり熱いものだ。ハンスで星系覇道をするとマチスが故郷の星を復活させて幼馴染で殺し合いのような形になることもあるので、マルチエンドは素晴らしいと感じた。

 

こういったヒューマンドラマが作品のあちこちに散りばめられている上に、宇宙の真相編もきちんとシナリオとして用意されているので、結構昔のゲームですが今でも絶対に楽しめる作品になっている。

 

パソコンで何か良いゲームないかな、と思ってる方はふりーむ!等でダウンロードぜひダウンロードしてみてはいかかだろうか。最初はきっと難しくてダストシュートしてしまうかもしれないが、有名なElonaと同じようにルールが分かれば何回でもやってしまうスルメのようなゲームなので根気よく理解する努力が必要だと思う。

 

最後に、Almagest 2』は作者のむつきみかつさんが失踪してしまったので立ち消えになったけれど、私たちの脳内で続編を夢想出来たらいいなと、いちファンながら考えている。

 

Vector様へのダウンロードリンク↓

www.vector.co.jp