フリゲ感想『Almagest ‐Overture‐』 宇宙に渦巻く混沌とはじまり
普段わりとフリーゲームをたくさんやったりしていて、30〜40作はこれまでにやっているので、今回はフリーゲームを紹介したいと思う。
今回は、多少取っ付きにくいけれど面白さ抜群の『Almagest -Overture-』というゲームをぜひ紹介したい。
この作品は2006年にむつきみかつさんが独力で開発されたスペースオペラを踏襲した恒星間移民が進んだ宇宙を舞台とする、SF戦略シュミレーションゲームである。
(ゲームのイメージカット)
めちゃくちゃ簡単に、今風に噛み砕いて言うと、人間が火星に移住して地球人と喧嘩になった状況が進み、今や木星や金星などを含めた、宇宙間大戦争が始まろうとしてるよ〜って感じの戦争ゲーム。
プレイヤーはその星の首相や大統領になって、この一触即発の宇宙情勢にどう立ち向かっていくのか……というのがゲームの触れ込みで、やることなすことはプレイヤー次第でこのゲームの面白いところである。具体的に言うと、戦争で銀河統一を目指すのか、同盟を以てして銀河和平を結ぶのかを選べる点だ。
戦争においては人材、練度、軍事力、外交など、どれが欠けても勝てないのでターンが回ってくる度にひたすら人材雇用、経済投資、資金援助(同盟打診への好感度up)、兵器開発を繰り返す。
これがめちゃくちゃ大事。
(他国から資金援助の声明)
経済投資して好感度上げてから、同盟結んで共通の仮想敵国を挟撃するとかもありなので、序盤の動きはかなり自由である。
また、戦争をする場合は人材を雇用して艦隊の司令官、副司令、参謀官に割り当て、艦隊に艦艇を配備して、宣戦布告ののち、他国に攻め入ることが出来る。
この時勝てなくても、何度も何度も攻め込めば敵星は疲弊するので、諦めずに滅ぼしていこう。しつこい星は嫌われるけど覇道を目指すならやむをえない犠牲である。
縫丸 nuimaru(改名) on Twitter: "同盟裏切って殺したら孤立しちゃったalmagest"
また、戦争以外のこのゲームの「面白さ」として、ヒューマンドラマが挙げられる。
(各国首脳のキャラクターデザイン)
左上の上段2人はセレスティア共和国のハンスとW.L.T.Cのマチスであり、彼らは以前滅ぼされた国で士官学校に在籍した昔馴染みだった。(かなり重たい設定)
マチスは士官のための試験を全て満点で合格したワンマン完璧超人だが、その後、故郷の星を出て行き、何故かW.L.T.Cで急進的な宇宙進出派の総帥にまで上り詰めていた。
その一方でハンスは、自身のカリスマ性とコメンテーターとしての知名度、弁舌を活かし、老獪な政治家たちを軒並み淘汰して、首相にまで成り上がっていく。
ハンスとマチスは宇宙の端と端にいるので、どちらも今の現状を知らず、「今でも生きてるんだろうか……」くらいに思っているのである。彼らが宇宙で出会った時の会話なども盛り込まれていて、それはかなり熱いものだ。ハンスで星系覇道をするとマチスが故郷の星を復活させて幼馴染で殺し合いのような形になることもあるので、マルチエンドは素晴らしいと感じた。
こういったヒューマンドラマが作品のあちこちに散りばめられている上に、宇宙の真相編もきちんとシナリオとして用意されているので、結構昔のゲームですが今でも絶対に楽しめる作品になっている。
パソコンで何か良いゲームないかな、と思ってる方はふりーむ!等でダウンロードぜひダウンロードしてみてはいかかだろうか。最初はきっと難しくてダストシュートしてしまうかもしれないが、有名なElonaと同じようにルールが分かれば何回でもやってしまうスルメのようなゲームなので根気よく理解する努力が必要だと思う。
最後に、『Almagest 2』は作者のむつきみかつさんが失踪してしまったので立ち消えになったけれど、私たちの脳内で続編を夢想出来たらいいなと、いちファンながら考えている。
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